【書籍紹介】【要約】本当の男女平等とは?について考える書籍 5選

読書

昨今、フェミニストの方の活躍や女性の社会進出に関して耳にしたり、実際に直面する場面が増えてきていると思います。

僕自身は、離婚の経験を通じて、人生において大切なものとは何だろうと考えました。
離婚するまでは仕事と家庭どちらも大事と答えていたかもしれません。無意識の内に、男は定年まで働くものという固定概念に捉われていたのだと実感しました。

男性が仕事、女性が家庭という画一的な役割を担うことが良しとされる時代は終わり、男だから女だからという区分けではなく、各個人の意向に沿った人生設計を立てることが重要だと感じています。

そのためには、まずは男らしさ女らしさなどといった世間一般に出回る誤った常識を改めて理解し、その画一的な考え方から脱却することも重要であると考えています。

そこで今回は、各個人の志向や価値観を尊重するため(=ダイバーシティ実現)に参考になる書籍を5つ選んでみました。

これからの男のたちへ

最初にご紹介するのは、太田啓子さん著の「これからの男の子たちへ」です。

女性目線から「有害な男らしさ」を指摘された本著。

「勝ち負けにこだわる」「上に立つことに固執する」「女性と対等であろうとしない」といった男が持つステレオタイプは、僕自身も無意識にしてしまっているものもあり、程度の差こそあれ、男性はまず真摯にこの指摘を受け止め、男のあり方に問題があるということを理解し、多様性を認めることを始めるべきと強く感じさせていただいた。

幼少期に良くある、女の子の邪魔やちょっかいを出して優位に立とうしたりすることも、「有害な男らしさ」の根源であり、本来は幼少期に指摘されるべきであり、「フラットな関係性を構築すること」「気持ちを言葉にすること」「自立すること(=依存先を増やす)」などが、男性に求められる変化として挙げられています。

印象に残った言葉としては、「気づかずにすむ人々」「知らずにすむ人」「傷つかずにすむ人」こそが、特権を付与されたマジョリティであり、それを与えられているのは男性である、という様な言葉。

男と女の関係がこうなってしまったのは何のせいなのかの認識を共有し、【直接的】【制度(法律、教育、メディア、企業といった)的差別】【文化的差別】を無くしていくことが、社会にも求められている変化であることを、理解するきっかけになる著書だと感じました。






不自由な男たち その生きづらさは、どこから来るのか

2つ目に紹介するのは、小島慶子さん/田中俊之さん著の「不自由な男たち その生きづらさは、どこから来るのか」です。

男性学の専門家である田中俊之さんと、フェミニストを公言する元TBSの小島慶子さんの議論形式で進む本著。
このまま生涯、いわゆる仕事一筋で男の人生を送ることが、果たして幸せなのか考えさせられる一冊。同時に女性の生きづらさは、男性の生きづらさの裏返しで発生するものでもあると感じました。

男性は幼少期から、大志を抱けと煽られて、身の丈以上に振る舞うことを期待され、「モテること」「仕事の成功」「年収」「大手企業への就職」などを競争して手に入れることが求められるが、40歳を境に体力の衰えや人生の終わりが見え始め、それらの競争と折り合いをつけざるを得ないので、人と比較してどうよりも、自分の力を出し切れるかどうかという点に基準を置いた方がいい、という指摘は、個人的にかなり参考になりました。

そういった指摘がなければ、仕事での成功、すなわち出世が自分の中で常に人生の優先度1位になり、本当に大切にすべきものを見逃す結果になってしまっていたかもしれないと感じました。

個人的には、世間一般、男性に求められる出世から自ら降りるといった選択をすることを考えるきっかけになりました。






仕事と家庭は両立できない? 「女性が輝く社会」のウソとホント

3つ目に紹介するのは、プリンストン大学教授のアン=マリー・スローターさん著の「仕事と家庭は両立できない? 「女性が輝く社会」のウソとホント 」です。

女性初のプリンストン大学公共政策大学院院長、アメリカ国際法学会長を歴任し、ヒラリー・クリントン国務長官の下で政策企画本部長を務める2児の母で、「世界の頭脳100」に選ばれたアン=マリー・スローターさんが書いた、まったく新しい働き方に関する著作です。

働く女性が増え、共働き世帯が主流となった今も、育児など家庭での役割を担い、仕事との両立に悩んでいるのは圧倒的に女性である一方で、もっと家庭の役割に貢献したくても、それができない男性も少なくない。

そういった背景を踏まえ、「家族を養うのは男性の仕事」「女性たちの家庭への縄張り意識や、男性は家事が自分より不得意だという先入観」「女性たちが男性に押し付ける収入を得るべきという役割」といった思い込みや偏見を脱却し、 女性だけの問題、男性だけの問題と捉えるのではなく、全員が同じ目線で仕事と家庭の両立を考えるべきであると強く訴えている部分が、主なポイントだと感じています。

つまり、仕事を選ぶ人もいれば、家庭を選ぶ人もいると思いますが、全員が人生での優先度をどう付けるかを常に考え、その思考を繰り返し、男性は仕事、女性は家庭というステレオタイプに捉われるのではなく、状況や志向に合わせてパートナーと共にお互いに納得する人生を歩んでいくことが、今後は求められるのだと感じました。







上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!

4つ目に紹介するのは、フェミニズム界では有名な上野千鶴子さん・田房永子さん著の「上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください! 」です。

フェミニストとして著名な上野千鶴子さんと、漫画家の田房永子さんが、「日本の何が問題なのか? 」母娘問題、セクハラ、結婚・恋愛・子育て、団塊世代と大学闘争、性暴力などについて議論を行う本著。

基本的に「女性はどうしてこんなに大変なの」という視点で話が展開されており、歴史的・社会的・文化的に女性の大変さを理解するのに役に立つと感じました。

母と娘の関係性に関するお話は、僕も身近で思い当たる部分が多々あり、姉やパートナーとその母の関係を見ていて、表面上は上手く行っているように見えますが、深い部分では決して相容れない部分があると思っていて、そういうことだったのかと納得した部分がありました。

また、家庭と社会の中における、歴史的な男女の役割の違いに関しても、男は社会(=仕事)の側に立ち、女性がいる家庭の側に歩み寄ろうともしないというのに対し、男が自発的に変わらないのは、「男ボーナス」があるからというのには、かなりハッとしました。

そして本著は、基本的に女性向けに書かれているものだと思うので、女性に対し「結婚は手を抜かない交渉を続けないと夫婦の関係は変わらない」「子どもには干渉するのに夫に踏み込まない妻」などと書かれていますが、男である僕からすると、社会は変えられなくとも、今後作るであろう家庭においては少なくとも、どちらかが我慢を強いられるのではなく、お互いに納得した人生を歩めるように、従来の仕事一筋の人生から抜け出していきたいと考えるようになりました。

また、お恥ずかしながら、女性が女性に対して蔑視や嫌悪を示す【ミソジニー】という言葉を改めてこの本で認識しました。

女性社会特有の生きづらさというのは、男のあり方が原因になってもたらされていることを理解することが出来ました。







科学の女性差別とたたかう

最後に紹介するのは、イギリスの科学ジャーナリストであるアンジェラー・サイニーさん著の「科学の女性差別とたたかう」です。

本書は、女であることの意味についての伝統的な考えに異議を唱える、充分な証拠にもとづく慎重な研究で、男女の行動の違いを脳の発達などの生物学的な差異が生じさせるという近年の主張に対して、豊富な論文と多くの研究者へのインタビューから反論を行うものと記載されています。

もう少し分かりやすく言うと、性別だけで判断し「女性は感情的で論理的に考えられない」や「女性は男性に比べて平均して数学や空間推論あるいは システムの仕組みを理解することが劣っている 」「女性は男性よりも浮気をしない」「女性は地図が読めない」などのように、生まれついての性によって、行動や能力に差があると思うことに反論を行う書籍です。

その根本にあるのは、男と女が根本的に異なる生き物であるという誤解であり、本来は生物学的にそこまで差異がなく、社会的・文化的な理由で行動が異なる場合でも、性別の差異に原因があるように考えられているのが現状だと、僕は理解しました。

そもそも、医学・薬学の分野では、ほとんど男性の情報だけが蓄積されてきた背景もあり、大多数の実験と研究からは、男女間に生物学的な性差はほとんど見つかっていないが、研究成果として世に出されるのは、氷山の一角として露呈した性差を強調した研究であることも、問題の本質を分かりづらくしている要因であるとのことでした。

つまり、この本の主張は、変わることが出来ない生物学的な原因ではなく、社会的・文化的な理由によりもたらされている性別間の差異であれば、人々の行動により、改善や差異を減らす方向に向かうことが出来ることを伝えたかったことで、男女間の差別はすべきでないことを主張したいのだと理解しました。

今後は男だから女だからという言葉はやめ、その差異の原因を作っているのは自分たち自身であることを常に意識しようと思いました。



いかがでしたでしょうか。
少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。

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