僕自身、赴任以外の期間も含めると7年近く海外との仕事をしていますが、約2年近くマレーシアに住んで働いた経験は、日本から海外との仕事をするよりも遥に難しさを感じながら、現地の方々と仕事してきました。
今回は、その経験の中で読んで参考になった書籍を、ご紹介したいと思います。
これらの内容は仕事だけでなく、現地で現地の方と生活する上でも役に立つ内容も多くありますので、ぜひ参考になれば嬉しいです。
アジアで働くことになった君へ
まず最初にご紹介したいのは、田中秋人さん著の「アジアで働くことになった君へ」です。
田中秋人さんは、イオンにて、イオンアジアシフトのプロジェクト初期に大きく貢献し、イオンストアーズ香港の創業、経営難に陥っていたイオンマレーシアを25年以上連続黒字企業に生まれ変わらせるなど、中国・アセアン事業の第一線で30年にわたり活躍した方です。
個人的に印象に残ったポイント
- 一個人としての利益や損得を超えて、自分が関わる人々のために力を尽くすということが、高潔な人物の振る舞いの重要性
- 現地社員の信頼を勝ち取ることがより重要(語学力よりも)
- 現地社員をリスペクトすることの重要性
「上から目線」にならずに,謙虚な姿勢で現地の人をリスペクトする姿勢が重要,現地の人と目線を合わせること。
本当のグローバル人材に必要なこと
小手先のコミュニケーション能力ではなく、他者を受け入れながら調和の取れた関係を構築できる「人間性」。
多様なバックボーンを背負った隣人たちと対等の立場で付き合ったり、リーダーシップを取って一緒に仕事を進めていこうと思ったとき、必ず「自分のオリジナリティ」に立ち返る必要が出てくる。それは日本の文化であったり、歴史や習慣だったり、日本語という言語であったりし、突き詰めれば「自分がどこから来て、何者なのか」に、自覚的になること。つまり、日本の常識を一旦全部捨てて、そこから改めて自分のアイデンティティに立ち返ること。
バックボーンを異にする他者と出会ったとき、相手が「何者なのか」「どんな価値観を持っているのか」「どんな道徳を持っているのか」「何を大切にしているのか」わからない人とは信頼関係を結ぼうとは思えない。
私たちが海外で働くことの意義
しかし、我々が経営している会社はどこまでいっても「日本人の会社」であることは避けようがない。現地の人たちにとって、ローカルの会社と同じ存在になることは不可能だが、「現地の人々のために役に立つ」という理念が不可欠。
その国の発展と、その国の人々に幸せのために、私たちのビジネスがある。会社の存在意義をそのように定義したときに、いわば究極の目標と言えるのが、会社そのものを現地の人たちの手によって経営してもらうこと。
会社の現地化のため、「経営の現地化」「資本の現地化(=上場)」という2つの段階がある。
日本人が海外で最高の仕事をする方法
2つ目に紹介するのは、糸木公廣さん著の「日本人が海外で最高の仕事をする方法」です。
糸木公廣さんは、ソニーにて、20年、9カ国の海外赴任。先進国も途上国も、新ビジネスも工場閉鎖も、 現場も社長も経験された方です。
本書で、一貫して語られているのは、海外においても「向き合う相手は人」であることだと感じました。
ただ、日本社会は均一性・同質性が高いため、異なるものに向き合うのは基本的に難しいが、それは企業の事業発展ではなく、個人として世の中の多様性に対応することや、革新的であることに繋がると書かれています。
また、海外での仕事を経験することの真の意義は、言葉が上手になるとか、海外慣れすることではなく、異文化・異観点・異条件に対応できるように自分を変えていく力を身につけることであるということで、これは僕も共感するところです。
さらに、これにより日本社会全体が異なる文化に対して「より寛容な社会」、異なる観点を活かせる「より革新的な社会」、異なる条件にある人々が共生できる「より生きやすい社会」になっていくことにつながる。
違いに関して
- さまざまな「違い」に触れ、異なる観点、異なる発想、異なる価値観を自分の中に取り込む格好の機会
- 積極的に「違い」を知り、「違い」を楽しみ、「違い」を尊重することが大切。
- 「違い」を理解するには、現地の文化を「知る」だけでなく、「体験」すること。
- 現地では自分は異質な存在。自分の観点を現地に提供し、刺激することが大切。
- 現地の中での「違い」(多様性)にも目を向け、活かすよう心がけることも重要。
逃げずに向き合うこと
- どんな仕事でも現場視点を失わないこと
- 日本人は本心が見えづらいと思われがち。意識的に自分を見せる姿勢が大切
- グローバル化とは画一化ではなく多様性を包含した全体最適化
- 個々の独自性に向き合うこと。共通性と全体最適
海外で仕事をする人が心がけるべき15条
- 現地の文化、社会状況を知る。
- 現地の立場で考える。現地を代表する人になる。
- 「違い」について善し悪しを語るのではなく、ありのままを見て、楽しむ。
- 地域も人も、一括りにせず、「個」にも目を向ける。
- 「外国人」としての自分の観点・立場を活かす。
- 現地の文化で何か一つでも気に入ったものを「極めてみる」。
- 困難な状況でも逃げずに現地の人たちと一緒に戦う気構えを持ち、示す。
- 自分を可視化する。人柄や考えを意識的にオープンにする。
僕がこれらの書籍を通じて学び、役に立ったと感じたこと
これらの書籍を読んで、もちろん海外現地での生活でも役に立った、現在の仕事でも役に立っていることは間違いないと思うのですが、日本で生活する上でも非常に役に立つと感じています。というのも日本は均一性が高い社会と言われていますが、それでも貧富の格差や、考え方の違いがあると思います。
そういった意味で、違いはどこにでも存在するという前提に立ち、他者を尊重することから人間関係は始まると感じています。ただ、海外で生活してきた経験に比べれば、日本で生活することは違いもそこまで大きいものでないので、コミュニケーションコストも少なくて済みますし、容易だとは思っています。
個人的に海外で生活する上で大切だと考えるポイント
- 現地の人としっかり向き合うこと、コミュニケーションをしっかりとること
- 自身の職位が高いからといって驕らない
- 日本人は異質な存在であることを理解した上で、現地の方の意見や考えを尊重すること
また、個人的に海外で生活するときに、強くおすすめしたいのはその国の「国立博物館」に行くことです。
そこで、その国の歴史を学ぶことが出来ますし、その国の歴史に対する姿勢が強く見えるからです。
特に印象的な出来事としては、マレーシアに駐在していた時に、日本に対する各国の見方を学ぶ上で、シンガポールも学ぶ必要があると考え、シンガポールの国立博物館に行ったのですが、過去、日本がシンガポールに対して犯した罪に対して、以下の様に紹介されていました。
We cannot altogether forget, nor completely forgive.
我々は忘れることはできない。完全には許すこともできない
恥ずかしながら、現地で働くものとして、この事実をそもそも知らないことはあってはならないし、この事実を知った上で、どう行動するかが重要だと思いました。
このように現地の人を尊重すると一括りに行っても、向き合う人からだけ学ぶのではなく、広く学ぶことは最低限必要だと感じたため、国立博物館に行くことをおすすめさせて頂きました。
いかがでしたでしょうか。少しでも参考になれば嬉しいです!!
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